民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)により、使用人の給料に係る短期消滅時効が廃止されることや、労働政策審議会の建議等を踏まえ、労働基準法における賃金請求権の消滅時効期間等を延長するとともに、当分の間の経過措置を講ずることとする「労働基準法の一部を改正する法律」が、令和2年3月27日に成立しました。
厚生労働省が提出した案からの修正はありません。
改正の概要は次のとおりです。
1.賃金請求権の消滅時効期間の延長等
・ 賃金請求権の消滅時効について、令和2年4月施行の改正民法と同様に5年に延長
・ 消滅時効の起算点が客観的起算点(賃金支払日)であることを明確化
㊟退職手当(5年)、災害補償、年次有給休暇等(2年)の請求権は、現行の消滅時効期間を維持
2.記録の保存期間等の延長
・ 賃金台帳等の記録の保存期間について、賃金請求権の消滅時効期間と同様に5年に延長
・ 割増賃金未払い等に係る付加金の請求期間について、賃金請求権の消滅時効期間と同様に5年に延長
3.施行期日、経過措置、検討規定
・ 施行期日:改正民法の施行の日(令和2年(2020年)4月1日)
・ 経過措置:賃金請求権の消滅時効、賃金台帳等の記録の保存期間、割増賃金未払い等に係る付加金の請求期間は、当分の間は「3年」。
施行日以後に賃金支払日が到来する賃金請求権について、新たな消滅時効期間を適用
・ 検討規定:本改正法の施行5年経過後の状況を勘案して検討し、必要があるときは措置を講じる
これにより、令和2年4月1日以後に賃金支払日が到来する賃金請求権については、消滅時効の期間が、ひとまず3年(現行は2年)とされます。
詳しい資料が公表されましたら、改めて紹介させていただきます。
ひとまず、議案審議経過情報などを紹介させていただきます。
<議案審議経過情報;「労働基準法の一部を改正する法律案」>
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DCEDB2.htm
<労働基準法の一部を改正する法律案の概要(厚労省)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000591650.pdf
また、次のような省令(労働基準法施行規則等)の一部改正も行われるようです。
<労働基準法施行規則等の一部を改正する省令(案)概要/パブリックコメントとして公表>
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000200186