短時間労働者の被用者保険の適用拡大を柱とする年金改革関連法案について、令和2年4月14日、衆議院本会議で趣旨説明などが行われ、審議入りしました。
この法案は、政府の「全世代型社会保障」を進める一環として国会に提出されたもので、安倍総理は、「支え手を増やし、年金制度全体の安定性を高めることで、低所得者を含めた将来の年金水準の確保につなげる」と述べました。
パートタイマーらの短時間労働者への被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の適用については、企業規模の要件が設けられており、現行制度では、原則として従業員「501人以上」の企業を対象としていますが、この法案では、令和4年10月に「101人以上」、令和6年10月に「51人以上」と2段階で引き下げることとしています。
その他、この法案には、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直しなど、多岐に渡る改正案が盛り込まれています。
企業としては、やはり、短時間労働者の適用拡大が気になるところですね。
健康保険や厚生年金保険の保険料は労使折半ですが、政府の試算では、51人以上の企業が対象になると、新たに約65万人が被用者保険に加入することになるということです。
確かに、政府の保険料収入は増えるでしょうが、各企業の保険料負担も増加することになります。
適用拡大の影響を受ける企業に対する何らかの配慮も検討されるものと思われます。
この法案(正式名称は、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」といいます。)の概要を、今一度確認しておきましょう。
<年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案の概要>
https://www.mhlw.go.jp/content/000601826.pdf